「…甘い、すっっげぇ甘「なら食べなきゃいいだろ」
俺の感想を一刀両断すると、石田はラッピングをする手の動きを再開させた。
「阿散井くんにはこれくらいが丁度良いんだよ」 「にしてもコレはちょっとマズいんじゃねえか…?」
俺は摘んだみたらしの串をプラプラ振りながら唇を舐める。うん、甘い。あいつこんなもんを毎日食ってんのかと内心ため息をついた。味覚がどうかしてやがる。
「…どっかイカレてんじゃねーの?」 「何か言った?」 「イエ、ナニモイッテマセン…」
満面の笑みの石田(ただしあれは怒りの笑みだ)から視線を逸らしつつ、冷めた茶を煽る。糖分がキツくて茶の味さえわからない…気がする。確かに奴は大の付く甘党で、暇さえあれば執務の合間に鯛焼きだのやちるからもらった金平糖だのたらふく食ってやがる。俺だって甘いものは好きだがいくらなんでも、
((これは、ないよな…))
俺はそんなことを思いながら石田を見ていた。 品の良い白くて長い指がてきぱきと包み紙を、リボンを箱に飾り付けていく。まるでバレンタインデー前日に好きな男のためにチョコを作る遊子を見ている、そんな気分。(いやそれはそれですごく困るけど。兄貴として。)
「よしっ、できた!あ、黒崎僕これから出掛けるんだけど…」 「どこ?」
((んなもん、聞かなくても知ってるっつの。))
「浦原商店。阿散井くん、朽木さんに会いにこっちに来てるんだって」
嬉しそうに話す石田に生返事で返しながら、俺は無意識に代行章を探っていた。石田が恋次に会う前に先回りして、奴を殴ってしまえたらどんなにせいせいするだろうか、と少し思っていた。
「あのさ、石田」 「何?」 「……恋次を糖尿にすんじゃねーぞ」
別にあいつのことが心配とかそんなんじゃなくて、 (あいつのことを想ってる君を俺は)
(いしだーっ!) (阿散井くん久しぶり…ってどうしたんだいその頭) (一護のアホに…殴られた)
20090611
** すごくやまなしいみなしおちなし(^p^) 6/11〜8/6までの拍手でした!
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