復活×狩人

□標的05
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まったく、毎度毎度の事ながら……

あまり騒ぎを起こして欲しくないんだけど。



標的05 保育係り



放課後、レイは欠伸を噛み殺しながら廊下を歩いていた。

「疲れた……」

小さく呟いて目頭をマッサージする。
今日中に仕上げなければならない書類が山程あったので、授業にも出ずに朝からずっと書類を片付けていたのだ。
それが一段落ついたので、レイは雲雀に許可を貰って息抜きがてら散歩をしていた。

ドォンッ



「くぴゃあっ!!」

「……ん?」

そんな中、中庭から爆発音と子供の泣き声が聞こえてきた。
何事だと眉を寄せながら中庭に行くと、そこにはいつもの三人組と、わんわんと泣く牛っぽい子供がいた。

「……何、してるの?」

「レイ!いや、これは……」

「こいつの保育係の適性テストをしてたんだぞ」

どもる綱吉に変わり、リボーンが説明した。

「保育係ねぇ……」

呟いていまだに泣いている子供――ランボというらしい――の方を見やった。
大方、獄寺あたりがキレてランボのことを締め上げたりしたのだろう。
その証拠に、当の獄寺は額に青筋を浮かべている。

「レイもやるか?」

「私はパス。子供は嫌いじゃないけど、面倒事はごめんだし」

「そうか。じゃ、次、山本な」

「オッケー」

山本は頷くと、ランボの方へと歩み寄った。

「真打ち登場だな。どーやってランボと打ち解けるか見物だな」

「山本、子供に好かれそーだもんな」

「ケッ」

綱吉達の横で、獄寺は面白くなさそうにランボを睨みつけている。
レイも少し興味があったので、その場にとどまり様子を見る事にした。

「お前キャッチボールやったことあっか?」

山本はどこからか取り出したグローブをランボの左手にはめてやった。
泣きやんだランボはそれに興味を示した様子。

「そういえば山本君、野球が得意なんだっけ」

「うん。これならランボも……」

感心するレイと綱吉の後ろで、獄寺が舌打ちした。
やはり彼にしてみれば面白くないのだろう。

「ほらいくぞ」

「ん」

山本はランボから少し離れ距離を取ると、ボールを構えた。
その時彼の目付きが鋭くなったのを、レイは見逃さなかった。

 まさか……。

「そーれっ!」



ゴッ



山本が思いっきり投げたボールは、ランボの顔面を直撃した。
ランボは勢い余って校舎の壁に激突する。

「え!?」

「うわぁ…」

驚く綱吉の横で、レイは痛そう…と顔をしかめた。
山本は慌ててランボに駆け寄る。

「わ!わりい!野球の動作に入るとつい加減ができなくてな」

「うっ、うわあぁぁあ!」

再び泣き出したランボを見て、レイは盛大に溜息を吐いてランボを抱き上げた。

「ほら、泣かないの。男の子でしょ?」

あやすようにぽんぽんと背中を叩きながらランボを落ち着かせる。
先程の怪我がかなり痛々しいので、一瞬女神ノ吐息を使おうかとも思ったが、リボーンがいる手前諦めた。

「うっ……お前だれ?」

「私はレイ。言えるかな?」

「ぐす……ランボさんそれくらい言えるもんね。レイ、レイだもんね!」

「良く出来ました。よし、そんなキミにご褒美をあげよう」

そう言ってスカートのポケットから飴を取り出し、ランボに渡した。

「あ!ランボさんの大好物のブドウの飴だもんね」

すっかり機嫌がよくなったランボは、飴を美味しそうに舐めた。

「レイだったら文句なしで合格だな」

「じゃああの風紀女が十代目の右腕……?」

咥えていた煙草を思わず落とし、獄寺は唖然としながら呟いた。

「最初に私はパスって言ったでしょ?」

レイは呆れたように言った。
そもそもレイが手をだしたのは、このままでは本当にランボが昇天してしまうかもしれないと思ったからだ。
決して保育係になりたくてしたわけでも、まして綱吉の右腕になりたくて手を出したのではない。




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