復活×狩人
□標的04
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体育祭かぁ。
初めてだからちょっとわくわくするな。
標的04 棒倒し
秋の色が濃くなってきた今日、レイが通う並盛中の講義室では、来たる体育祭に向けての作戦会議が行われていた。
「“極限必勝”!!」
とスローガンを掲げるのはレイのクラスであるA組代表の笹川了平。
「相変わらず熱いね〜。京子のお兄さん」
レイの隣にいた花が頬杖をつきながらぼやいた。
「お兄ちゃん大丈夫かなぁ」
「ははは。でも、笹川先輩みたいな人がいた方が、チームの覇気は上がるんじゃないかな?」
ハラハラしながら呟く京子に、レイは苦笑しながら言った。
京子と花は、レイが転入してきて初めてできた女友達だ。他の女子生徒とも絡みはあるが、風紀委員という立場上引かれてしまう事が多い。
京子と花は、そんなことはせずに普通に接してくれる数少ない友人だった。そのため、良くこの二人と一緒にいる頻度が高いのだ。
「今年も組の勝敗をにぎるのは、やはり棒倒しだ」
「――そういえば、棒倒しって何?」
レイが京子と花に訊ねる。
曰く棒倒しというのは、総大将が棒の天辺に登り、相手の総大将を地面に落としたチームが勝ちというものらしい。
例年、組の代表を棒倒しの“総大将”にするならわしなのだという。
「へぇ、笹川先輩が好きそうなポジションだね」
「けど、棒の天辺って案外ヒマらしいから、一般兵の方が合ってる気もするけどね」
「どっちも危ないから、無理だけはして欲しくないんだけど……」
各々が各々の感想を述べている中、花の予想が当たったのか、了平は総大将を辞退すると言い出した。
周りは予想外だったのか、了平の発言に周囲がざわめく。
「オレは大将であるより、兵士として戦いたいんだー!!」
なんとも彼らしい理由だが、単なる我が儘に一同呆れ顔。
「だが心配はいらん。オレより総大将にふさわしい男を用意してある。――1のA、沢田ツナだ!!」
了平はビシィッと勢い良く綱吉を指差した。
その後決を採り、半ば強制的に賛成の票を集め、本人の意思関係無しに総大将が決定してしまった。
「それと、同じく1のAレイ=エーミス!お前も棒倒しに参加してもらうぞ!!」
…………………。
「はぁ!!?」
レイは勢い良く立ち上がる。
「ちょっと待って下さい!確かに面白そうですけど、私女ですよ?」
京子と花の説明では、棒倒しは男子のみの参加だったはずだ。
「一人くらい女子が混じっていても問題ない!」
「むしろ大ありでしょう」
「それにあの雲雀を投げ飛ばしたその実力、ここで使わずしてどこで使うのだ!?」
「どこから仕入れてきたんですかその話」
「タイの長老、パオパオ師匠が教えてくれたのだ!」
「誰ですかそれ」
「とにかく!エーミスにも棒倒しに参加してもらう!これはもう決定事項だ!!」
「拒否権って言葉知ってます?」
レイの抗議も虚しく、レイの棒倒し出場が決まった。
恭弥になんて言おう……。
あの風紀委員長の事だ。群れるなと言ってお小言の一つや二つを貰うだけでいいが、トンファーは面倒なので勘弁願いたい。
それが嫌だという事に加えて、見回りといった風紀の仕事もあるので競技の参加は最低限にしていたのだ。
レイは雲雀に何と言おうか思案しながら、盛大に溜息を吐いた。
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