復活×狩人

□標的03
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……“普通”を目指してたんだけど…

これって“普通”…じゃないよね…



標的03 マフィアな赤ん坊現わる



「失礼しました」

軽く頭を下げながら、レイは印刷室のドアを閉めた。
その腕には、印刷したてのプリントの束が抱えられている。
本来であれば、生徒が印刷室を使用する事はできない。だが、少なからず例外もある。
そして彼女――レイは、その“例外”の中の一人なのだ。
それを証明しているのが、レイが肩に羽織っている学ランと、その腕に巻かれた風紀委員の腕章。
レイは風紀委員書記という立場にあるのだ。……少々不本意ではあったが。
転入してから早一週間。レイが風紀委員で書記をやっているという事は瞬く間に広まり、今では大抵の人間が彼女に哀れみ半分恐れ半分な視線を送っている。
正直ちょっと――いやかなり――鬱陶しい事この上ない。
今も風紀委員の権限を使って書類のコピーをしてきた所だが、たまたまいた事務の先生の引きつった表情を思い出し、レイは溜息をついた。

 何もあんなに怖がらなくてもいいのに……。

レイだっていくらなんでも誰彼構わずいきなり殴りかかるような事はしない。
だが、畏怖の対象である風紀委員の一員である以上、回りはそう見てしまうのだ。
しかしあからさまにそういった態度を取られると、結構傷ついたりする。
レイは再び大きく溜息を吐いき、レイは応接室のドアを開けた。

「………」

室内の光景を見て、レイは思わず固まった。
応接室の床に、なぜかクラスメイトの綱吉、獄寺、山本の三人が転がっていたのだ。

「ああ、遅かったね、レイ」

「……あ、うん。というか恭弥」

「何?」

「この光景は何なの?」

レイは床に転がっている三人を指差した。

「僕の前で群れてたから咬み殺しただけさ。一匹は煙草を吸ってたしね」

「群れてたって……この三人私のクラスメイトなんだけど」

「そんなの僕には関係ないよ」

「あのねぇ……」

レイは片手で頭を抱え、盛大な溜息を吐いた。



「あーいつつつ……」



その時、綱吉が頬を押さえながら起き上がった。

「沢田君、大丈夫?」

「う、うん……ってレイ!?それに獄寺君に山本!?なっ、なんで!!?」

状況がわかっていないのか、綱吉は大きく目を見開いている。

「起きないよ。二人にはそういう攻撃をしたからね」

「え"っ」

「ゆっくりしていきなよ。救急車は呼んであげるから」

「ちょっ、それって」

……救急車を呼ぶくらいなら、こんな事最初からやるなと思うのはレイだけだろうか。
かく言う綱吉は、雲雀の言葉の意味を理解したのか、真っ青になっている。

 仕方ない、助けるか。

あまり目立った事はしたくないが、目の前でクラスメイトがタコ殴りにされるのを黙って見ていると言うのも気分的によろしくない。
そう思い口を開こうとした時、窓の外から視線を感じた。
視線を窓の方へとずらすと、そこには銃を構えたスーツ姿の赤ん坊がいた。

「死ね」

赤ん坊はそう言うと、綱吉に向かって銃を放った。

「! 沢田君!」

咄嗟の事で反応が遅れ、思わず声を上げたが時既に遅し。
放たれた銃弾は綱吉の額に命中した。



「うおぉおぉっ、死ぬ気でお前を倒す!!」



「…………は?」

死んだと思った綱吉が何故か勢い良く起き上がったかと思うと、ものすごい形相で雲雀に殴りかかった。……その際脱衣したことはあえてツッコミを入れないでおく。

「何それ?ギャグ?」

雲雀は表情一つ変える事無く、突っ込んで来た綱吉に容赦なくトンファーを振るう。

「アゴ割れちゃったかな」

「……恭弥、素人相手にカウンターはないでしょ」

「向こうが間合いを考えずに突っ込んで来るのが悪い」

「まあそうなんだけどさ。でも――」

至極最もな事を言われ、レイは頷いた後、小さくいたずらな笑みを浮かべた。

「確認もせずに敵に背中を向けるのは、感心しないかな」

レイの言葉に雲雀が眉を寄せる中、レイは雲雀の背中――綱吉が倒れている場所を指差した。



「まだまだぁ!!」




レイが言い終わるのと同時に、起き上がった綱吉の拳が、雲雀にクリーンヒットした。
そしてどこからかやって来たカメレオンをトイレ用スリッパに変形させ、それを大きく振り上げ――


「タワケが!!」



雲雀の頭を思いっきりはたいた。



「ねぇ…殺していい?」


 ……うん。見事に逆効果だね。

レイは突然膨れ上がった殺気に動じること無く、小さく肩を竦めた。




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