Short Story (流)
□叶わぬ恋と墮天使
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私はアクマだ。
そう、殺人兵器だ。
人を殺すと、レベルアップして強くなる。
私は、もう何人も何人も殺してきて、レベル3にまで成長した。
そして、成長して自我が目覚めたことに後悔したんだ。
私は恋をしてしまった。
それも、私を壊すエクソシストに。
それはいけないどころか、あり得ない。
数ヶ月前、私の元になった人間は、唯一の肉親であった兄をなくし、それを愛するがために道を外れてしまった。
彼女は、求めるべきでない死者を求め、自らの命を悪魔に差し出した。
なのに彼女は死ぬ間際、今までで何よりも綺麗な顔をしていた。
何故、私がこんなことを知っているのか、何故、それを思い出したのか、分からない。
でも、愛がなんなのか、教えられたような気がする。
死んでまでも、悪魔と手を繋いでまでも、愛するものと一緒にいたい。
愛――
それは言葉では表せないが、それ故に深く、いとおしいもの。
アクマの私は、知ってしまったこの想いを、本人に伝えることすら出来ない。
ならば、この想いをどこへ向かわせればいい?