みじかめ
□ダメ人間じゃん?
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「……田…………田さん………」
………ん?
「………松田さん…」
だ……れ……?
重い目蓋を開ける。
そこには、見知らぬ青年が。
あれ、どこかで…。
「こんなところで寝てたら、風邪引いちゃいますよ」
このパンダ目、このくせ毛、この猫背……まさか…。
「…松田さん、やめてください」
思わず、手でその青年の顔を触り、確認した。
化粧とかコスプレとかで、なろうと思えばなれる。しかし、化粧なしですごいクマ、はだの白さ、髪の毛も本物…。
「……もしかして、L?」
「…この前初めて会った時、そう言ったはずですが」
なぜかはわからないが、目の前にDEATH NOTEの主人公のLがいた。
全く意味がわからない。
「どうしたんですか松田さん。様子がおかしいですよ」
当たり前だ。目の前に漫画の主人公がいるなんて、普通じゃいられない。
「汗もいっぱい欠かれているようですし、すでに熱でもあるんじゃ」
自分の頬をつねるが、やはり夢は覚めない…。
端と気付き、辺りを見回す。
「ここ、…どこ??」
「捜査本部、ですが…覚えていないのですか?」
目を見開き青年、いや、Lは問う。
「覚えて??なんで??」
「なんでと言われても…」
だって私は、どんなに記憶を遡っても、ここを初めて見たから。
漫画でなら見たことあるとは思うが…。
Lも何を言っているのかと困惑した表情だ。
Lは私が寝てたらしいソファーから離れて、モニター前の椅子にすわる。あの座り方で。私に向かい側の椅子にすわる様に促す。
「あなたは、誰ですか?」
Lはそう問う。
「松田、桃香です」
「それでは、私は?」
「……L、竜崎」
「なぜ、自分がここにいるか。分かるか?」
「わからない…。家で漫画を読んでた途中で、睡魔に襲われて、目をさましたら……」
Lは漫画のように鋭い目付きをする。
「…というか、あなたなら分かるのでは?L。私が何故ここにいるか…………。いや、教えて欲しい」
私も質問する。というか、きく。
「あなたは、捜査本部の一員で、今まで私たちと一緒に捜査してきたのですが…」
「う、うそ?」
私が捜査本部の一員???
「私はウソが嫌いです」
いや、知ってます。漫画13巻まで持ってるし、読んでるし…。
ていうか、こういうのなんて言ったっけ?漫画の世界に入っちゃうこと……。
「わ、私に捜査本部に入れる推理力と技量があるとは、到底思えないんだけど…」
「しかし、以前の捜査本部にもいましたし…キラ捜査本部がここに移った時も、確かにあなたがいました」
う、そ…。ていうか、本当に入っちゃったみたい。漫画の世界に。
すでに漫画世界の一員として、Lの記憶には組み込まれてるらしい。
何不自由なく、そして何の夢ももたずに過ごしてた、私の人生…。
これから、どうなっちゃうの…!!??
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