宝物(小説)
□Than the sweet nothings love
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キッドと付き合えて
幸せって思ってるのは私
だけなのかも。
だってさ、世間では
X'masムード一色なのに
未だにデートのお誘いゼロ。
告白受けたの、3ヶ月前だよ?女っぽくないのは認めるけどさ………
自分で行けばいいんだけど、、、、私にはムリ。
「はぁ・・・・」
「マカちゃん、ため息ばかりね。」
「聞いてくれる?椿ちゃん。」
この言葉を境に
死武専の屋上にいたマカは
椿にひたすら愚痴を溢した。
マカとしても、『付き合う』ことに慣れてないとはいえ、もう少し恋人らしい事を期待していたのだ。
それなのに、ここ3ヶ月、
恋人らしいことをするどころか前よりも話さなくなったようにも感じる。
マカだって寂しさが募っていたのだった。
永遠と愚痴を話すマカを始終笑顔で聞いてきた椿は前方から向かってくる人物に気づいた。
マカは話すのに夢中で気づいていない。
「どうしたの?」
「マカに、ちょっと。」
「あ、じゃあ私は帰っとくわね。お邪魔虫みたいだし。」
「・・・すまん。」
「気にしないで?ただ、マカちゃんの想いも聞いてあげてね。」
椿はそういうなり、そっとマカから離れて、教室へと帰っていった。
椿が離れた事にもマカは気づかない。
「別にさ、X'masが近いからって期待してる訳じゃないよ?そういうんじゃないけど、やっぱこ、恋人だしさ……。 期待はしてないんだけどね!?キ、き、キスまではいかなくてもさ、手を繋ぐとか?やっぱ考えるじゃん。いや、しなくてもいいんだけどさ!」
「そうか?俺はキス以上もしたいが?」
「うん。確かにそれ以外もした…………………………………え!?」
「でも以外だ。マカがキスしたいなんて。見かけによらず大胆なんだな。」
「‐‐‐‐‐‐キ、キ、・・・・キッドォォォォォォオ!?」
「ん?」
「い、い、いつから!?ってか椿ちゃんは!?え、私、椿ちゃんと話してて……ッ!キスは違うくてっ、いや、違うくないけど違うんだって!!!寂しかったわけじゃなくてッ…………た、ただその……」
…………久々に、二人で話せたなって…………………………………。
マカは蚊の鳴くような小さな声で、そう告げた後
ポロッと涙を流した。
「悪かった。ごめんな。」
キッドは泣いたマカをギュッと抱きしめ
優しく、触れるだけのキスをした。
それの行為により、
マカの涙腺はさらに緩んでしまった。
「わっ…たし…、可、…ひっく、愛くないし、強がっ、てばっかりだから………嫌われたかッと思っ、、て。」
「嫌う?俺が?あり得ない。」
「だけっ、ど…デートもない……しっ、ひっ……最、近、他の子とばかり話っし……て、私と、は、はなしてもっくれ…な………し、、、」
「それについては、ほんとごめん。だけど、どうしても最高の物を渡したくて。」
そういうとキッドは
ポケットから小さな箱を出した。
「・・・・・?」
「色んな女子にマカの好みとか色々聞いて回ってたんだ。どんな色が好きかとか、どんな感じが好きかとか。……恥ずかしい話、まだまだ俺は未熟だからな。・・・・・開けてみてくれるか?」
そういわれ、マカはそっと箱を開けた。
そこにあったのは、デザインも色合いもマカが好きな感じの
指輪があった。
「ッッッッッ!?」
驚いて、キッドを見ると、
照れたように笑った。
「その…気が早いとは、解ってるんだけどな。X'masプレゼントってことで。」
「へっ!?いや、でも・・・」
「手放すつもりないし。放っててすまん。でも………… マカ、愛してる。」
手を繋ぐことも、キスも、それ以上のこともまだなのに順序がおかしいとか、
さすがに気が早すぎるとか、
きっちりかっちりが好きなのに全くきっちりかっちりじゃないじゃない。とか
たくさんたくさん
思うところはあったけど、
なにより
話せたことが嬉しくて。
手放さないと言われたことが幸せで。
そして、愛してるの言葉が
想像以上に甘美で。
マカはまた少し泣いた。
「お姉ちゃん!チューしてるよっ」
「お、やるねぇ。」
「ま、キッドなら合格かな。泣かせたら許さねぇけど。」
太陽だけが野次馬という名の心配性リズ、パティ、ソウルが最初から最後まで覗いていたことを知っていたのだった。
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