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□REVE
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「気持ちい〜…」
神殿の片隅。
デンデの花壇の傍に寝転がって、僕はぼんやりしていた。
やけに瞼が重い。
寝てしまっていたんだとわかっていても、何故か起きたくなくてそのまま目を閉じた。
「…悟飯?」
ピッコロさん?
ぽかぽかの陽気に甘えてうとうとしていると、不意に誰かの手の平が僕の頭をそっと撫でた。
その手の平があまりに気持ち良くて、身動きが取れない。
「…悟飯。眠っているのか?」
少し寂しげなピッコロさんの声に胸が締め付けられる。
ごめんね、ホントは起きているんだ。
だけど、もっと撫でて欲しくて、僕は狸寝入りを決め込む。
たとえ、今は僕のほうが強くてもピッコロさんは僕の大切な人。
おずおずと撫でてくれるピッコロさんの手が、僕はことのほか大好きだった。
「…悟飯」
くすぐったくて、気持ち良い。
ピッコロさんの様子をそれとなく伺いながら、僕は大好きな手の平を堪能していた。
「…悟飯。起きない…よな…?」
不意に頭を撫でていた手の平が離れて、今度は頬を撫でられる。
予想外のピッコロさんの行動に驚きながらも狸寝入りを続けると、ピッコロさんの吐息が頬にかかった。
「…起きるなよ」
妙にピッコロさんの声が近い。
耳元で直接囁かれたと思うくらい近い声に流石に動揺すると、唇に柔らかい感触。
「……え?」
驚いて眼を開けると、そこには既にピッコロさんの姿はなかった。
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