短編V

□腹黒注意報
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▼ 腹 注 意 報 ▽




「キャプテン、ちょっといいだろうか?」
「どうしたんだ、ゼロ?」

 ガンダイバーズの初出動したその日、
ゼロは前々から思っていたことをキャプテンに投げかけた。

 ちなみにキャプテンは先日の戦闘でエネルギー切れになってしまった
ビームライフルにエネルギーを注入しているようだ。


「あ、いや……シュウトのことなんだが……」
「シュウトがどうかしたのか? シュウトならば今の時間は学校にいる時間だ。
今日は体調不良で休校したという連絡は受けていない」

(何処から手に入るんだ、そんな情報……!)

 そんな素朴な疑問を投げかけたら、恐らくはゼロが予想しているより
遥かに超越した答えが返ってきそうなので、「は、はあ」と軽く受け流す選択を取る。


「いや、そうではなくてだな。
以前、私達が敵の美しくない罠にはまり、
ダークアクシズ要塞がある次元に連れて行かれただろう?」

 ゼロがキャプテン達の前に姿を現してから数日が経った頃、
キャプテンとゼロの仲は今よりあまり良くなく、
その隙を突かれてゴムゴムバズーカによってゴム製の球体に
閉じ込められてしまったことがあった。
応援が無いまま、キャプテンとゼロはそのまま
ダークアクシズ要塞がある次元まで連れて行かれた訳だが。

「俺がガンダムフォースに着任する前にそんなことがあったんスか?」
 ひょっこりとキャプテンの近くに陣取っていたガンイーグルは
自分が愛用するビームガンにエネルギーを注入しながら、キョトンとした顔で聞き返す。

 ゼロはキャプテンの近くに座ってさり気なく仕事をこなしていたガンイーグルを、
少し冷たい目で見た。

「あぁ、いたのか、ガンイーグル」
「そりゃ、いますよ! 俺だって今回の戦いで結構エネルギー消耗したんですから!」
「フェンを助けたあとすぐにエネルギー補給しただろう!」
「そのあと、また出撃したじゃないですか!」
「今回はお前ではなく、ガンダイバーズの活躍だっただろう!?」
「ラクロアの精霊助けてあげたの、どこの誰でしたっけ!?」
 などの口論を繰り返しながら、ゼロとガンイーグルの間に火花が散る。


 その狭間にいるキャプテンは別に慌てて止めることなく、
むしろ彼らなどより先に、与えられた仕事を全うすることに専念している。

 途中でハッと、話の路線がズレていることに気づいたゼロはゴホン、と咳払いして、
ガンイーグルとのにらみ合いを一時的に中断して話の路線を元に戻す。

「そ、そこでシュウトが助けに来てくれて、私達はザクレロゲートを通って帰ってきた」



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