短編V
□ミュージック・レッスン
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〜♪
――♪
「ん〜。やっぱり、ちょっとここが出来ないかなァ?」
自宅の部屋でシュウトは1人、学校から与えられたリコーダーを手にして、
簡易な楽譜とにらみ合っている。
今週末、シュウトが通っている学校では音楽の中でリコーダーの発表会というものがある。
シュウトは今まさにそれに向けて訓練しているのだ。
だが、実際地道に訓練しても絶対音感を持っているわけでは無いから、
何処が間違っているのか分からないし、コツすらもつかめにくい。
頼みのキャプテンもそこまで器用ではないし、爆熱丸に関しては例外だ。
とすると、残るは――。
「ゼロ、かな?」
――考えるよりまず行動ということで、
シュウトはS.D.G.基地にいるゼロに早速問い合わせた。
「すまないが、私も絶対音感を持っているわけでは無いし、
第一それ程専門的に教えられることは出来ない。管楽器なら尚のこと」
「えー!?」
思わず不満の声を上げてしまったシュウトに、
ゼロは心底申し訳なさそうに視線を伏せて、すまないと謝罪する。
シュウトは自分が思わず口走ってしまったことに対して後悔し、慌てふためいた。
「し、しょうがないよ! 僕が勝手に頼んじゃったんだから!」
だが、内心では少し焦っている。あとは一体誰に教わればいいのだろう――?
「シュウト、要は自分のミスや音感を聞いてくれるものが必要なのだな?」
「うん。あと、どうすればいい音が出せるかも聞きたいんだ」
「それなら、いい助っ人がいる」
予期せぬ言葉を聞いた途端、シュウトの瞳が瞬く間に希望の光に満ち溢れた。
「本当!?」
「あぁ、アイツならきっと喜んで引き受けてくれるだろう」
「誰、誰?」
「我らラクロア親衛隊隊長、熱砂の騎士(ナイト)・ロックだ」
♪ ミュージック・レッスン ♪
「ふぅ……」