ギルティギア・SS ブック

□大罪者への安息
1ページ/11ページ



者への







「ぃよぅ!
元気かい、警察機構のお兄さんに団長の爺ちゃん、そしてギアの帝王さん!」






 バターン、と食堂の扉を盛大に開けた人物を、
1人は唖然と見つめ、残り2人は黙視して茶菓子を頬張る。



 慌てて立ち上がったのは、食堂ならびにこの邸の主であるカイだった。




「これは闇慈さん」



「何用だ、死に損ない(半裸)」




 カイが自分の近くの椅子を引いて座りように促す傍ら、
ジャスティスがピシャリと非情に言い捨てる。
思わずカイの手が止まって、唖然とジャスティスを見返す。





「あ、相変わらず日本人(おれら)には手厳しいな、あんた」



「当たり前だろう。
カルファードと交わした条件さえなければ今頃戦闘状態に入っているどころだ」



 カイが淹れた紅茶を啜りのみながら、ジャスティスは厳然と闇慈に告げる。






 カイの実父であるカルファードとジャスティスは聖騎士団・団長とギアの統率者以前に、
遥か100年前に某国で企てられた『GAER計画』時代の同僚であった。
表沙汰では死亡と公表されたジャスティスをキスク邸に住居させるように提案したのも彼だ。
その中でカルファードは幾つかジャスティスに条件を出した。






 その1つが無駄な殺戮行動。




 元々ジャスティスはギア・メーカーが抱く本来の目的のために利用された駒の1つであった。
聖戦時代、GAER細胞の副作用により人間だった頃の記憶も心も失っていたが、
今は記憶が蘇ったため、理性が保たれている。





 とはいえ、GAER細胞は獣としての本能を呼び起こす代物である。
ジャスティスがいくら指揮固体の完成型とはいえ、本能に勝てる保証はどこにもない。
特にギアの姿は本能が露骨に出てしまうため、やむを得ない場合を除き、
武装をすることは禁じられている。




 ギアの天敵とも呼べる「気」を扱う者はギアにとって殺す対象となっている。




 ジャスティスは自分の胸の中で疼く本能を押さえるために、闇慈と少し距離を取った。





 それを横目で見ていたカイが、ふと小さく笑みを零す。
あの破壊神と恐れられているジャスティスが最近になって丸くなりつつあるのが感じられる。




「で、闇慈さんは何しにここへ?」



「あ、そうだそうだ」


 カイの問いかけに訪問した用件を思い出した闇慈はおもむろに袖の中に手を突っ込んで、
ある物を取り出した。





「少し気晴らしに作ってみたんだけど、ちィとばかり作り過ぎちまってね。
お裾分けって訳」




 そう言って闇慈が取り出したのは重箱。その中に敷き詰められた
桜餅やおはぎ、草餅など日本伝統の和菓子を見せる。
カイが歓声を上げた。



「凄いですね。作ったってことは、これ全て闇慈さんが?」



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ