ギルティギア・SS ブック

□暗闇の中の研究所
2ページ/6ページ



「どうでもいいだろ、んなこと…」



 頭をガシガシ掻きながら、フレデリックは言った。
その言葉にどうも納得出来ないジャスティス。
そんな彼女にアドバイスを送るかのように、飴色の髪を持った男、カルファードが何気なく口走る。




「減給されちゃあ、さすがのフレデリックも始末書を書くものさ」



「そういうこった……って、カルファードッ!!」



 つい、つられて相槌をうってしまったフレデリックは半ば自己嫌悪をしつつ、
そこで初めて手を止めると、顔を赤面させてカルファードを見た。
そこでようやく、ジャスティスが納得したかのような顔を浮かべた。



「さすがのフレデリックも減給ときけば、動くんだな。
まあ、気持ちは分からんでもない」



「まあ、我々は単なるただ働きのようなものだから」



「てめェらも、のんきに茶ァ飲んでねェで、研究しろよ……ッ」




 いつの間にやら、のんきにお茶を飲んでいたジャスティスとカルファードに対し、
思わずペンを折ってしまうほど力を加えてしまったフレデリックであった。






「カルファード、お茶」



 そんな彼を無視して、ジャスティスは空となった湯飲みをカルファードに差し出した。
カルファードはそれを見ると、自分の湯のみと一緒に持ち上げ、椅子から立ち上がる。




「フレデリックはコーヒーかい?」



「あぁ、砂糖はいらんぞ」




 胸ポケットから別のペンを取り出したフレデリックは愛想のない返事を返した。
それを相変わらずと受け止め、カルファードは彼に笑顔を向けると、
そのまま、その部屋から出て行った。
その部屋には台所というものはなく、
いちいち部屋を出ては台所にある場所へといかなければならかった。




 部屋に残ったジャスティスとフレデリックは全く互いに話す気配もなく、
ただ平然とカルファードが戻ってくるのを待っていた。





「ギア細胞の研究の方は進んでんのか?」

 フレデリックの方から何の前触れもなく、尋ねてきた。




「ああ。少なくとも、近いうちに解明出来るはずだ」

 愛想の無い答えを返すジャスティス。




 また暫く、重い沈黙が空気を支配した。






 その中、フレデリックはペン先を止め、ジャスティスに気づかれないように彼女を見る。
彼女はさきほど、カルファードが読んでいた本を読んでいたため、
フレデリックの視線には気づいていない。




「ジャス――」




 ピカァァ! ゴロゴロゴロ……!






 窓の外が大きく輝いた。
雷が鳴り、どこかに落ちたのが分かった。
途端に研究所の電気が全て消え、周囲にはなにも見えない状況となる。





「停電――」

「だな……」



 フレデリックがジャスティスの語尾に続いて言った。





「……――暗い……」



「ジャスティス、まさかお前、暗い所苦手だったのか?」



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ