ギルティギア・SS ブック

□Best of all
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「こんなところでなにしてるんだ、アリア?」


「み、見れば分かるだろう。フレデリックから逃げてるんだっ」


「っていうことは、本当にお前が割ったのか?」



 その言葉の意味を理解すると同時に、彼女は咄嗟に口を覆った。




「フ、フレデリックには内密に頼む……っ」



 懇願するように頼み込みアリアに彼は笑って答えた。




「ああ、いいよ。その代わり――」



「え……」



 彼の腕が伸びたと思ったら、彼は彼女の顎に指を沿え、持ち上げていた。





「代金はこれで勘弁してあげるよ?」



「ちょっ、と待て、おい……」





 今は誰もいないとしても、誰が来てもおかしくない状況だ。
キスすることに異存はない。
いや、本音を言ってしまうと、大有りだ――が、少しは時と場合を考えてほしい。




 そう考えている間にも彼の顔が迫ってくる。
アリアは咄嗟に目を閉じた。すると――、ゴンッ。
なんともいい音が大気を震わせて、耳に飛び込んでくる。








 アリアが恐る恐る目を開くと、
いつの間にかフレデリックとカルファードが「あの男」の後頭部を殴っていた。



「ったく、油断も隙もねェ……ッ」


「全くだ……ッ」

 2人は握り締めた拳を小刻みに震わせて、怒りの態度を示していた、



「どうして殴るかな?」




「「自分の胸に聞けッッッ!!」」




「あの男」の言い分に、フレデリックとカルファードは怒鳴りながらに答えた。





「ジョークだよ、ジョーク。笑って許せ」


「無理だろう……ッ!」


「つーか、てめェ、今マジでやろうとしてだろッ……!」



 フレデリックは今にも殴りかからんとする勢いで言った。
すると、「あの男」は照れくさそうに後頭部に手を回すと、淡々と言い放つ。



「いやー、アリアの顔があまりにも可愛かったから」



「なッ……!」



 予想もしてなかった言葉にアリアは思わず言葉を失って、視線を泳がせる。




 途端に2人の額に青筋が浮かんだ。





 バキッ……、と指の関節を鳴らしたのはカルファードで、
ゴキゴキ、と首の間接を鳴らしたのはフレデリック。




「そういえばフレデリック、法力が込められた武器を開発したって?」



「ああ。切れ味は抜群だぜ?」



「試し切りした?」



「そういやァ、まだしてねェなァ」



 それとない会話でも、とてつもない恐怖を感じたのは初めてだ。
そこまで2人は怒っているということが嫌でも分かる。




 話を逸らすように、「あの男」はポンッ、と手を打った。



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