ギルティギア・SS ブック

□Best of all
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「これは、確か右の棚に……」


 片手に持っている資料を見ながら、アリアは本棚にある本をとろうとしていた。
その時、本棚の傍らにあった小さな棚と激突し、
その上にあったレコードの山が一斉に轟音を立てて床に落ちる。



 幸いにも床には厚い絨毯が敷かれてあったものの、
レコードの中にはパリ……ッ、と不吉な音を立てて落ちた物もあった。



 瞬間、アリアは硬直し、しばしその音が発せられたレコードを見つめる。



(――ヤバい……っ!)



 そのレコードはフレデリックが一番大切にしてあるレコードだと気づいたのは、
思考が回復してすぐだった。









Best of all








「カルッッ、ファードォッッ!」





 バタンッ! という轟音を立てながら扉を蹴り破ったフレデリックは
鬼の如き形相で同僚の名を叫んだ。



 資料室で資料に埋もれていたカルファードは
今にも噛み付きそうな勢いで迫ってくる同僚をきょとんした顔で見つめた。



「どうしたんだい、フレデリック」


 その問いの答えのように彼はいきなりカルファードの襟を掴んできた。





「俺のレコード、割ったのお前か!?」





「………は?」





 字の如く目を点にしたカルファードは二、三度瞬きして、彼を凝視する。
それからどうしたものかと困惑した表情を浮かべ、頬を軽く掻く。




「今までここで資料と睨めっこしてたんだけど……?
そもそもキミのレコードって、どこの部屋の?」






 彼は研究する度に「QUEEN」のレコードを持参している。
そのため、どの部屋にもレコードが山済みのように重なっているのだ。





「武器開発の研究室にあったやつだ!
『シアーハートアタック』のレコード!」





(割った奴、絶対に有無を問わず、ぶっ殺されるな……)





 半ば割った者に哀れみを感じながらカルファードは首を振る。





「生憎と今日はそっちに出向いてないよ。
そこは確か、あいつかアリアがいるはずだ」





「とりあえず、お前じゃないんだな?」





「当たり前だろう? そこまで命知らずに見えるかい?」




「いいや。お前の場合、割ったとしても、完全な証拠隠滅を図るだろうな」




「おや、嬉しいこと言ってくれるね」



「いや、褒めてねェ」



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