短編U
□時雨ときどく優しさ
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「そなたは何故そうも楽観的に物事を捉えることが出来る?」
「こういう性格だから」
独り言のように呟かれたマドナッグの言葉に対して、ガンイーグルはけろりと即答する。
マドナッグの口からまた深い溜息が零れた。
(マドナッグって結構良い奴かも……)
笑みを零しながらガンイーグルはそんなことを思う。
「あぁ、そなたが歩いてきた廊下、さっき私が掃除したばかりだから、あとで掃除しておくように」
「……………ハァ!?」
ガンイーグルは一瞬、硬直した後に、素っ頓狂な声を上げる。
ぱちぱち、と幾度か目を瞬かせた挙句、「なんで俺が!」と文句を叩きつけた。
「雨の雫で廊下を汚したのはそなただ。では、それを払うのは当然そなただろう。
――何か文句でも?」
「……………………、いえ、無いです」
反論できないぐらい、素晴らしい正論を突きつけられ、ガンイーグルはすぐさま断念する。
(やっぱりコイツ、嫌いだ……)
ぐっとタオルを握り締めながら、ガンイーグルはそっと涙を呑んだ。
その怒りを示すようにして、ブランベースで荒れる雲からは眩い光を伴って雷が落ちたという――。
それでネオトピア市街地に被害が無かったのが奇跡だったと、マドナッグは後に語った。
〜 了 〜