短編U

□リュミエール
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≪GN粒子、散布≫

 S.D.G.基地『ブランベース』の排気口から、雪のような――しかし、雪ではない、
七色の光る無数の粒子が宙を漂う。
それによって、ブランベース周辺の電脳機器は強制終了を強いられ、
ブランベースという建物の存在は誰の目からも消えている。

 それがGN粒子という物質の特徴だ。


≪残り10分……暇だろうけど、我慢してね≫

 スピーカーから聞こえて来た穏やかな口調に、固定台に横たわっているレアヴァーナは
ふと、鮮血にも似た真紅の瞳を強化硝子によって隔てられている部屋に向けた。
空中に浮かび上がったモニターと睨み合いながら、オペーレーターのジュリはコンソールに指を滑らせていく。

 ふと、レアヴァーナの視線に気づくと、苦笑を浮かべた。

 レアヴァーナは細い溜息を吐きながら、「慣れている故、大丈夫だ」とぶっきらぼうに答えた。

 硝子に覆われた天上から見える青空には白雲が漂い、
いつまでも平和という二文字を刻んでいるように思えた。




ュミール





 カン! キン!――ブランベースの中庭で、鼓膜を劈かんばかりの乾いた音が鳴り響く。
赤い影と白い影が交じり合う度に乾いた音が耳朶を叩く。

「てやっ!」
「せぃっ!」

 爆熱丸の短い威勢に応じるように、クァシエのGNソードが空を切り、爆熱丸の二刀を受け止める。

 ひゅっ――。クァシエの左手が振り下ろされ、爆熱丸のこめかみに手刀が命中する。
爆熱丸の体は容易く地面を転がるが、彼は地面をバウンドする最中、上手く体を回転させて体勢を整えた。

 クァシエはGNソードを折り畳み、その下に隠されている銃口を向けて、連射。


「Σおー!? どわわわっ!?」

 爆熱丸は軽やかなステップを踏みながら、クァシエが発砲する銃弾の数々を避けていく。


 不意に銃弾が止むと、次にクァシエは腰や懐に隠しているショートソードの類を投げつけた。
爆熱丸の関節を狙ったそれらは、しかし爆熱丸が振るった二刀の風圧によって相殺され、地面に落ちる。

 その間に、クァシエは爆熱丸との間合いを縮めて、GNソードをなぎ払うかのようにして振るう。
爆熱丸の右手に握られている一刀が、それを受け止めた。

「もらった――!」



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