短編U

□AZZURRO ROSAF
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『あ、ありがとうございます……』

 ぎこちない動きでディードは差し出された薔薇を受け取った。

『枯らさないようにするのですよ? 
もしも枯らしたりしたら許しませんからね』

『あ、はい!』

 お茶目に笑うリリジマーナの笑顔を前に、一瞬我を失いかけたが、
ディードはしっかりと頷いて応じた。


 あの時の笑顔は自分だけに向けられたものだった。
渡されたプリンセスローズも、自分のために摘んだもの。

 デスサイズは通常のマナを用いた魔法で枯らさないようにしている薔薇の花弁に触れた。
瑞々しく柔らかい花弁は人肌にも等しい。

 デスサイズは花瓶の中から青い薔薇を取り出し、再びリリジマーナへと歩み寄る。


「私はあなたならどんなことでもしよう。
名誉も、仲間も、命だって捧げよう。
――だから、ずっと私だけを見つめ、私だけに微笑んでくれ……リリ」









〜呪文のように繰り返す言葉、

何度も何度も口々に呟き、囁き、暗示のように繰り返す

そうしないとキミは振り向いてくれない



だから、全てを捨ててまで得ようと思った――


あなたを手に入れるため、闇に染まる







さあ、狂い咲け――
蒼き薔薇よ









−END−










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