短編U
□スクランブル
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「・・・っはぁ;・・如何したのガンイーグル?」
「ジュリさん、外出届良いッスか?」
「え、別に構わないけど・・。」
ガンイーグルは何か遣る瀬無い顔で体を反転し、食堂から出ようと歩き始める。
それを見てジュリは少し心配した微笑みをガンイーグルに送った。
それに気づいたのか、タイミング良くまた体を反転してガンイーグルはジュリに言った。
「・・飛んできます。」
やはり、飛ぶのは気持ちが良い。
ガンイーグルは暫し目を瞑ったまま空を旋回した。
飛んで気分を紛らわせようと思ったが・・どうやら無駄だったみたいだ。
心の中で渦巻いているモヤモヤとした感情が収まらない。
今は空も穏やかな太陽、流れる雲全てが憎たらしく思える。
それは八つ当たりと言うべきだ。
暫く飛んでいると向こうからシュウトの家が見えてきた。
この時間は丁度、シュウトは学校に行っているので誰もいない。
ガンイーグルはそのままシュウトの家を通り過ぎようと思ったが、急に止まった。
ふと下を見ていたらシュウトの家の広い庭にある光景が見えた。
「・・あれは・・。」
ガンイーグルはすぐさまシュウトの家の庭に降り立つ。
見れば其処には自分の鬱屈の原因となった者が庭で何かしていた。
「・・おい、マドナッグ。」
ガンイーグルは低い声で相手の名前を呼んだ。
この一時がスローモーションの様にゆっくりと流れているような気がする。
呼ばれた相手はピクッと方を動かし、腰を下ろしていた体をそのままガンイーグルへと反転する。
GP-04、マドナッグはシュウトの母親であるけい子に洗濯機の修理を頼まれていた。
そろそろ最終段階に移る時にガンイーグルに呼ばれたのだ。