短編U

□カラーズインポート
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「何故サーモンピンクなんです?」




「……………………、――――は?」








カラーズインポート








 ダークアクシズ要塞、ジェネラルの間にて、プロフェッサー・ガーベラは、
もはや日常茶飯事となったジェネラルの機嫌を取り繕うとした矢先、
突如として現われたデスサイズの開口一番を聞いた。


「何故サーモンピンクなんです?」

 先ほどの返答に不満を持ったのか、デスサイズは一言一句間違えることなく、
再び言葉を投げかけてきた。

「………………………………」

 ガーベラはあえて黙秘を続けた。

 すると、背後ですちゃ、という乾いた音が聞こえてくる。
訝しげに思ったガーベラが肩越しにデスサイズを振り返ると、
彼の横を鋭い刃を持ち得た大鎌が凄まじい音を立てて横切る。
すー、と流れるはガーベラの頬に流れる一筋の血。


「私の質問を無視するとは、いい度胸です。
いくらプロフェッサーとはいえ、加減はいたしませんよ?」

「……力ずくか。たかが装甲の色如きで」

「私は気になったことは徹底的に調べるのが性分なので」


(だからって何も大鎌投げるなよ……)


 頬から流れる血を乱暴に拭いながらガーベラは溜息を吐く。

「で、どうしてサーモンピンクなんですか?」

「……その質問、そのまま返していいか?」

 少し沈黙を置いて逆に投げかけたガーベラの質問を本当に理解できないと言いたげに、
デスサイズはおもむろに首を傾げた。


「私は別にサーモンピンクなんて悪趣味な色持ってませんよ?」

「趣味が悪くて悪かったな! じゃなく、どうしてお前はそこまでして気にするんだ!」

 そこまで言うと、ようやくデスサイズは納得したようにして頷いた。


「中身が黒いくせに、外装だけ彩る必要があるのかどうか、気になったんです♪」

 デスサイズの口から出た「中身か黒い」という言葉が何を指しているのか、
ガーベラにはすぐに察しがついた。
というより、それしか思い当たる節がないのだ。


(なんでマドナッグ形態の姿まで知ってるんだ、お前……)

「あなたが寝ている間にちょっと♪」
人の心を読むな! というより、“ちょっと”ってなんだっ!」

「いえ、ちょっと体を調べさせていただいただけで。
別に変な事なんてしてませんよ、……まだ」




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