短編U

□お茶会にて
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トールギスもガタンッと立ち上がった。
そしてテーブルを一回大きく叩いた。
するとカップが反動で浮き、茶らしき液体が一滴床に落ちた。
その瞬間、液体の落ちた床の一部分が、溶けた。


「・・・溶けましたね。」

「あぁ・・。」


二人はそれを見て暫くの間立ち尽くす。
そして、暫く経った後のデスサイズの一言。


「絶対飲めませんよ!と言うか飲めない物に成り下がってますよ!」

「そんな事は無い!ちゃんと手順通りに淹れたんだ!」

「ではなんでこんなのが出来るんですか!?」

「知るか!!」


二人の声の大きな口論は部屋の外にも響いてたらしい。
部屋の前で待っているヴァイエイトとメリクリウスも思わずドアに耳を欹ててしまうくらいだ。
二人は一旦落ち着こうと息切れしながら椅子に座りなおす。
こんな事を繰り返しては孤高で優雅な騎士の名が汚れてしまう。
・・もう汚れているのだが。


「で・・どうやって作ったんですか・・?」


デスサイズはとりあえずお茶の手順をトールギスに問う。
その手順に問題があるのは間違いない。
トールギスは口論のせいか、息切れしながら話始める。


「ま・・まずは原料のプリンセスローズの花を茶漉しに入れた。」

「其処は普通ですね。」

「そして・・次にグリフォンの羽を磨り潰したのを入れた。」

「えっ?」


・・違う。
デスサイズはそう思ったがトールギスは話を続ける。


「それに鷹の爪、薬草、魔女の髪の毛・・それに――。」

「ちょっと待って下さい。」


デスサイズはビッと手をトールギスに突き出し、待ったのポーズ。
原因はそれだ。




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