短編U
□お茶会にて
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あの・・。
− 茶会にて −
それは良い天気だ。
変わりもしない紫の雲が空で渦巻いているのだが、特に雨とかでは無いので良い天気らしい。
鳥の囀りは聞こえないが、バグバグの羽音が聞こえる。
未だ荒れ果てて救われていないラクロア城の中ではと言うと・・。
「デスサイズ。」
「・・なんですか?」
デスサイズは呼ばれて音も無く出てくる。
部屋には自分の主、トールギスがいた。
そしてトールギスの隣のテーブルには二つのカップとポット。
その湯気が異様に禍々しい色を漂わせている。
普通の湯気は白いはずだが・・その湯気は紫色を帯びている。
それをみたデスサイズは顔を少し引きつらせる。
「・・茶にしないか?」
「・・・良いですけど・・。」
嫌な予感がした。
トールギスの淹れた紅茶をまともに飲むことが今日が初めてだからだ。
いつもは自分が淹れて終わりと言うのに。
今日はどうしてだろうか、主が淹れている。
デスサイズは恐る恐る近づくようにテーブルに近づく。
「・・あの、これは何ですか?」
「茶だが・・?」
ポットの中身をトールギスは最初自分のカップに注ぎ、次にデスサイズのカップに注ぐ。
カップの中身は茶と言うより・・葛湯みたいなものになっていた。
「・・魔法の調合だったら手伝いましたのに・・。」
「違う!」
デスサイズはドロドロで紫色の茶らしき液体を見て嗚咽を堪える。
少し経ち、液体を擬似し一言。
「本当のことを言ってください。変身とかの魔法薬でしょう?」
「だから違うと言っているだろう!」
トールギスは頭に筋を浮かばせて怒鳴る。
起こった勢いでミルクや砂糖を怒涛に入れまくる。
どういう原理の液体なのか、ブクブクと泡が立ち始めた。
それを見たデスサイズは我慢できずに椅子から立ち上がる。
「これを飲めと言うのですか!?」
「俺の淹れた茶が飲めんと言うのか!」