短編U

□お茶会にて
1ページ/4ページ




あの・・。



− 茶会にて −



それは良い天気だ。
変わりもしない紫の雲が空で渦巻いているのだが、特に雨とかでは無いので良い天気らしい。
鳥の囀りは聞こえないが、バグバグの羽音が聞こえる。
未だ荒れ果てて救われていないラクロア城の中ではと言うと・・。


「デスサイズ。」

「・・なんですか?」


デスサイズは呼ばれて音も無く出てくる。
部屋には自分の主、トールギスがいた。
そしてトールギスの隣のテーブルには二つのカップとポット。
その湯気が異様に禍々しい色を漂わせている。
普通の湯気は白いはずだが・・その湯気は紫色を帯びている。
それをみたデスサイズは顔を少し引きつらせる。


「・・茶にしないか?」

「・・・良いですけど・・。」


嫌な予感がした。
トールギスの淹れた紅茶をまともに飲むことが今日が初めてだからだ。
いつもは自分が淹れて終わりと言うのに。
今日はどうしてだろうか、主が淹れている。
デスサイズは恐る恐る近づくようにテーブルに近づく。


「・・あの、これは何ですか?」

「茶だが・・?」


ポットの中身をトールギスは最初自分のカップに注ぎ、次にデスサイズのカップに注ぐ。
カップの中身は茶と言うより・・葛湯みたいなものになっていた。


「・・魔法の調合だったら手伝いましたのに・・。」

「違う!」


デスサイズはドロドロで紫色の茶らしき液体を見て嗚咽を堪える。
少し経ち、液体を擬似し一言。


「本当のことを言ってください。変身とかの魔法薬でしょう?」

「だから違うと言っているだろう!」


トールギスは頭に筋を浮かばせて怒鳴る。
起こった勢いでミルクや砂糖を怒涛に入れまくる。
どういう原理の液体なのか、ブクブクと泡が立ち始めた。
それを見たデスサイズは我慢できずに椅子から立ち上がる。


「これを飲めと言うのですか!?」

「俺の淹れた茶が飲めんと言うのか!」





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ