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□うそつきの答え
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「飛行機って、なんで飛べるのかな」
そんなことを唐突に、けれど息をするかのようにごく自然に口にした彼女は両手を広げてぶーんと言いながら数歩前でくるりと回った。少し間を置いて俺はぱっと浮かんだ適当なことを答える。
「某アニメの青い石でも使ってるんだろ」
「マジか!」
「マジだ。たぶん」
彼女は毎日少しおかしなことを訊いてくる。どうして空は蒼いのか、月は何故満ち欠けを繰り返すのか、夏は何故暑いのか、エトセトラエトセトラ。誰も気に止めないような些細なことからスケールの大きなことまで様々だ。
そんな彼女の疑問全てに俺は真面目に返さずに適当に返している。そう、本当に適当に。投げやりとも取れる俺の返答に彼女は呆れることも怒ることもなくただ笑うだけ。答えの内容ではなく応えることが彼女にとって重要なことらしい。
「星って、どうしてあんな遠くにあるんだろ」
「その方が綺麗に見えるからだろ。星だって見栄張りたいんだよ」
「なら、ナスカの地上絵は?」
「地球の刺青だよ」
「じゃあ、社学のもっちゃんが頭つるっつるなのは?」
「生まれた時からそうだったんじゃね?」
「そっかぁ」
気のない返事をして、彼女は広げていた手を降ろす。そして何を思ったのか跳ねるように大きく二三歩前に出て俺から少し離れた。
「どうした?」
疑問に思った俺が呼び止めると、彼女はかかとを軸にくるりと反転して此方を向く。
「じゃあさ、」
彼女の口元が、少しだけ弧を描くのを見た。
「どうして君は、いつも私と一緒にいるの?」
「……今さらだろ、そんなの」
「言ってくれなきゃわかんないよ」
「言わなくても充分わかってるだろ」
彼女は俺の言葉に眉を下げて困ったように笑う。
「あのね、女の子にはわかってても言って欲しいことがたくさんあるの。言ってくれたら不安じゃなくなるし、幸せな気分になれる」
「そういうもんなのか」
「うん、そういうもんよ。で、答えは?」
いつものように答えてくれるんでしょう、と微笑む彼女に、俺はため息をついた。
「……俺が、お前と一緒に居たいからだよ」
うそつきの答え
口にするのはかなりの労力が要ったけれど
彼女の表情を見てまぁいいかと思えた。
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三々企画より、田中森様リクでした!
「飛行機って、なんで飛べるのかな」という台詞を使うということで。
途中からわけわかんなくなった←
相変わらずの和咲クオリティです。あい。
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110415