Gray-Wind
□第一話【風を纏う者】
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《opening》
――『灰色の風』…おまえは罪を犯した
――……え?
――解るか? おまえは人を殺したんだ
――コロ……シタ…?
――あぁ、そうだ。その男を殺したのは、おまえだろう?
……いやああああああああああああああああっっっ!!!
……サア、ユメヲミヨウ……?
♪
ストライズ界の最も高い場所に在ると言われている『光の塔』は、その名の通り光の神に最も近い場所ともされている。またそこは、守護者と彼等を手伝う者達の住む場所でもあった。
古い洋館のようなその大きな建物の中では毎日が慌ただしく巡っていた。
……そのある一室で、一人の女性が作業をしていた。彼女のいる部屋は結構な広さで、中央辺りに二、三人座れるサイズのソファが二つ置かれている。それらと向かい合うような形で彼女の座る椅子と山のように積み上げた資料を乗せた机があった。
彼女の外見は二十代中頃。山吹色の短い髪に、眦が少し下がった同色の目。服装はジーンズとタートルネックの長袖の上に白衣を羽織っているという飾り気のないものだ。
彼女はこの広い部屋で一人、資料に目を通し何かしら書き込むという一連の作業を繰り返していた。
――……と。何処からか軽い足音が聞こえ、彼女はふと顔を上げる。程なくして背後のカーテンが揺らぎ、寝巻き姿の少女が飛び出した。
「っ姉さま、ナギ姉さまっ!!」
背中に垂らした金髪に、菫色の大きな瞳。ようやく十を越したぐらいだろう。その顔立ちは目の前の女性――ナギとよく似ていた。
ナギは身体の向きを変え、穏やかな口調で少女に問う。
「どうしたの、ヒカリ。そんなに慌てて」
すると少女は無意識に胸に当てていた手をきゅっと握った。震えている、だがよく聞こえる声で言葉を紡ぐ。
「………夢を…………見ました……」
「!!」
「……『風の守護者』の夢です。名は………」
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