Gray-Wind
□第一話【風を纏う者】
16ページ/39ページ
「……やればいいんだろ」
「決まりね。ちなみにこの任務が終わったら二人でペアを組むかどうか決めるから」
「は!?」
「当たり前じゃない。今いる守護者の中でペアを組んでないのはゼンとエガ、それにヒカリぐらいでしょ? ヒカリは私の手伝いがあるから組ませる訳にはいかないし」
「だからって何で俺だけなんだ。エガとの相性も見てから決めるべきだろ」
「大丈夫よ、きっと」
「は……?」
声を荒げるゼンに何故かナギは不適に笑い返す。ゼンはそんな彼女にいぶかしげな視線を送るが、簡単にかわされた。
「──と、いうことで。いいかしら、二人とも?」
「うん」
「──ああ」
片方は少し緊張した面持ちで、片方は不機嫌そうに目をそらしながらナギに応えた。ナギは満足そうに頷く。
「──で、移動手段なんだけど」
ナギは一度壁にある古時計を見て、再び二人と顔を合わせる。そしてにっこりと笑って言った。
「汽車、逃しちゃったみたい」
「おい!」
「仕方ないじゃない。ゼンと問答してたら時間かかっちゃったんだもの」
「ちゃった、じゃねえだろ。お前それでも司令官か」
眉間に皺を寄せるゼン。しかしナギは表情を変えなかった。
「大丈夫よ、代わりはちゃんとあるから……ね、カナリ」
視線をカナリに向け、ナギは悪戯っぽい笑みを浮かべた。ゼンもあわせて隣のカナリを見る。彼女は、微笑んだ。
「うん、任せて」