Gray-Wind

□はじめに
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『異世界ストライズには、二人の神が存在した――』



それは、誰もが知る昔話。世界を覆う光と闇の物語。


曰く、光と呼ばれた神は闇から人々を守る為に『彼ら』に力を与えたのだと。


力無き人々は、力を駆使し人々を闇から守った『彼ら』を『光の守護者』と称した。






――そしてある時、世界は動き出す。






旅立つ少女が抱くのは、忘却の痛みと過去に交わした約束。


内に秘めた想いの為に、ただ少女は前を向く。


「自分だけ逃げるのは嫌だ。私も戦う」






塔の上の少年の胸に光るのは、幼くも確固たる誓い。


届かないと解っていながら、それでも空に手を伸ばす。


「強くなるって決めたんだ。あいつを守れるように」





或る者は他者の過去に心を痛め


或る者は嘗ての友に復讐を誓い


或る者は少女の影に触れたいと願い


或る者は異分子を疑い


或る者は一度声を失い


或る者は失踪した師を探し


或る者は他者の為に踊り狂い


或る者は弱者を慈しみ


そして或る者は仲間を優しく見つめる






交錯する想い 絡み合う過去


そして、誓いと約束――


強い想いは力となり 軈ては運命を狂わせる









『少女よ、お前は何を望む?』


「……力を。あの人を守れるだけの力が欲しい」




「誓ったんだ。何があってもあいつを守ると」






――これは、守り守られるモノ達のモノガタリ。


Gray-Wind





2011年2月26日〜
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