孤月と猫
□旅立チ
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「…っこれ…………!?」
朝起きて間もなく、廉は一気に目が覚めた。彼の手には一枚の紙があり、それには文字が沢山書いてある。手紙だ。まだ子供とはいえ、廉にも文字は読める。特に教えて貰った人の字は忘れる筈がなかった。
「鈴……ねぇちゃん………?」
暫くして、廉は弾かれたように家を飛び出した。家の裏にある畑に二つの影が見える。
「とうちゃーん!! かあちゃーん!!!」
我が子の声が耳に届き、二人は顔を上げる。
「廉!! どうしたね、そんなに慌てて」
「ねぇちゃんがっ!! 鈴ねぇちゃんが……!!」
酷く興奮した様子の廉から手紙を受け取る。暫くして、二人はとても優しい目で空を見上げた。
「……そうか……鈴ちゃんも、やっと……」
頭上は、雲一つ無い、何処までも青い空が広がっていた。
……行っておいで。
きみがそう言ってくれるのをずっと待ってたよ。
強い想いが在るのなら、
叶えたいと思うのなら、
何処へでも行くがいい…
『…………行ってらっしゃい、鈴猫……』