展示場

□タイムラグ
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海にぽっかり浮かぶ孤島
久し振りの休暇だ
各機体の最終チェックを済まして、あたしは砂浜に足を向けた

サンダルを脱ぎ捨てて海へ少しだけ入ってみる
足を海水につけたまま砂浜に寝転んだ
意外に太陽が暖かくて目を閉じる


「何やってんだ?」


「うひゃう!?」


上から聞こえた声はデュナメスのパイロットである彼で
あられもない声をあげたあたしに、苦笑いが向けられた


「き、急に声かけるからですッ!!」


「悪ィ、悪ィ」


頭をくしゃくしゃと撫でられる
この感触がたまらなく好きだ
苦笑いの声も、何気ない仕草も、全部
ああ、末期


伝えたいのに伝えられない
臆病な自分が恨めしい


「どうした?
また考え事か?」


にこにこ
どうしてそんなにもあたしを虜にするのか
確信犯


「言ってみろよ」


ほら、と頭を小突かれる
また彼のペース
また笑顔



この気持ちを伝えたらどんな表情になるんだろうか





(想いが伝わるまであと数秒)
(彼が笑うまであと何秒?)
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