展示場

□薬物依存
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「へ…?」


ドアの前で棒立ちすること既に5分

やっとこさ仕事が終わって家に帰ってきた

なのに!
ドアを開けようとすると、鍵を開ける時の独特な音が聞こえない!
鍵をかけ忘れた?
そんなことは無い
…ハズ

恐る恐るドアを開ける
いつも聞いている開閉の音が不気味に聞こえるのは気のせいにしておこう


「おー、お帰り!」


「は…?」


玄関から忍び足で(それはそれはどこかのエージェント並の)廊下を進んでいったあたしの耳に届いたのは、なんとも間延びした声で


「おつかれ」


黒のハーフエプロンを着けた、マロンブラウンのふわふわ猫っ毛の彼がテーブルに料理を並べている所だった
足首までの丈が長いエプロン(仕事先のだろう)が妙に似合っている


「なんで!?仕事は!?遅番だったんじゃ無いの!?」


「ああ、急にシフトが変更になってな
明日は遅くなる」


なら連絡入れてよ!
とか文句を言う間もなく、彼はエプロンを脱いでイスについてしまった
あたしもそれに習い、料理を食べた(悔しいけど美味しい…!)



「最近疲れてるんじゃねぇのか?」


夕飯を食べた後、彼はあたしの頭越しに話し掛けた(ついでに言っとくと、今あたしは彼に後ろから抱き締められている)


「そんなこと無いよ」


「また強がる」


それがお前の悪い癖だぜ、そう言って彼はあたしの肩に顔を埋めた

どうしてこうも彼はあたしのことを理解しているのか
それを聞いたらどんな答えが返ってくるのかは予想がつくけど(きっとあたしが逃げ出したくなる位の甘い答えだ!)
確かに助かってるけど…悔しい!!(だってあたしばっかり依存してるみたいだし)


「いつか絶対あたしがいなきゃ駄目なようにしてやる…」


「何だよ、ソレ」


あたしの宣言をどうとったか知らないけど、彼が苦笑いするのを聞いてあたしは夢に落ちた



「勘違いしてんなよ…」



(お前さんが努力するまでもなく)(俺だって)



薬物依存

【恋】英:love 地球上で最も依存性が高いモノ
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