RKRN小説(暴君受け)

□メルフェン(笑)
1ページ/2ページ



昔々ある所のあるお城に、大層美しい仙蔵という王子様が住んでいました。
仙蔵王子は何不自由なく優雅な独身貴族暮らしを満喫していましたが、ある日、父である半助国王の言い付けで近隣の四国に住む四人のお姫様の内の誰かと政略結婚をすることになりました。
「あー…、そういう訳だから、悪いんだけどちょっとお妃選びの旅にでも出て来てくれないかな?」
「それは構いませんが、それよりも…」
「ん? 何だ?」
「脱・独身おめでとうございます」
「ってコラ! 原作の設定を持ち出すんじゃない!」
「ええ、心得ていますとも。 それでは、私は旅立つことにします」
仙蔵王子は従者の小平太をお供に連れて、早速お妃選びの旅に出ることにしました。
 小平太は元々お城で雑用として下働きをしていた、とても純粋な心を持った若者でした。
 そこを、周りの大臣達の慇懃とした態度に嫌気が差していた仙蔵王子に、その裏表の無い真っ直ぐな性格を評価されて従者に取り立てて頂いたのです。
「いけいけどんどーん!!」
小平太は仙蔵王子を乗せた人力車を引いて野山を駆け、二人はあっと言う間に隣国のバカタレ王国にたどり着きました。
 バカタレ王国の文次郎姫は言いました。
「ギンギンに俺と鍛錬しよう!!」
「誰がするか暑苦しい」
仙蔵王子は文次郎姫の申し入れをすっぱりと断りました。
「あれが姫というツラか? どうみても国王だろうが。 次行くぞ、次」
仙蔵王子と従者の小平太は、国境を越えて更に隣国のアヒル王国にやってきました。
アヒル王国の留三郎姫はそれなりの美形だったので、仙蔵王子はここら辺で手を打っておこうかと思ったのですが、童顔好みの留三郎姫は仙蔵王子よりも従者の小平太の方が気に入ってしまったようで、小平太の手を握って離しません。
「俺と結婚しよう、小平太!!」
「うえぇ?」
「いい加減にしろこのショタコンが!!」
仙蔵王子は慌てて小平太から留三郎姫を引っ剥がすと、急いでアヒル王国を後にしました。
続いて仙蔵王子と従者の小平太は不運王国の伊作姫に会いに行きましたが、生憎、伊作姫は留守にしていて居なかったのでそのまま通り過ぎて隣国のフェアリー王国に行きました。
フェアリー王国の長次姫は大変な読書家で、『あなたの運命』と書かれた本を片手に、訪れた仙蔵王子にこう言いました。
「……………モソモソ…」
「ええい聞こえん!! もっとはっきり喋れ!!」
「…あなたの運命の人は、常にあなたのすぐ傍にいるでしょう…」
その言葉に、仙蔵王子の目が醒めました。
「そうか…つまり私が結婚するべきは小平太、お前だったのだな…!!」
「へっ、そうなのか?」
仙蔵王子は小平太の手を取り、しっかりと握り締めました。
「私と結婚しろ、小平太!!」
「よく分からんが分かったぞ!! 細かい事は気にするなって言うしな!!」
こうして、仙蔵王子は小平太と二人で自分のお城に帰りました。
国王様は政略結婚をさせようとして送り出した王子が出した意外すぎる答えに最初は反対しましたが、仙蔵王子があまりにも頑なであったがために持病の神経性胃炎が悪化してしまい、とうとう最後には二人の結婚を許しました。
そうして、王子様と従者は、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。

おしまい
→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ