RKRN小説(暴君受け)

□君はペット‐主人は私‐
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 ある日の放課後の図書室でのこと。
「中在家先輩、ちょっと宜しいですか?」
委員会の後輩である不破雷蔵が遠慮がちに声を掛けてきて、整理した古書を一覧表に書き記していた長次は何事かと視線を向けることでそれに応じた。
「今度授業で縄標を扱うのですが、どうにも上手く出来なくて…何かコツのようなものとか、あったら教えて頂きたいのですが…」
情けなさを隠すように頬をかく雷蔵の手には、長次が得意とする縄標が握られている。
「……………。」
コツ、か…
長次は無言のままに考えた。
今や縄標の扱いに関しては忍術学園一と謳われるまでに腕を上げた長次だが、習ったばかりの頃から手慣れていたかというと決してそうではない。
何も縄標に限った話ではないが、こういった武具を扱うにはどうしてもある程度の修練を積む必要がある。
まして学園一と評されるまでになるには並大抵ではない努力を求められるだろう。
 しかし長次は別段向上心が旺盛である訳でもなければ、それ故に秘密の特訓を行ったという訳でもなかった。
そもそもどうして縄標なぞ携帯して持ち歩くようになったのか、最早当人でさえ忘れてしまった理由を思い出そうとして益々思索していると。
「ちょーじっ!!」
スパーン!!
小気味の良い音を立てて全開に開かれた戸から、長次の級友である七松小平太が現れた。
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