「っ・・・」

永遠に思えた数秒の後、ようやく開放されたくちびるから息を吸い込み、くらくらする頭に酸素を送る。
視界が暗くなったり明るくなったりを繰り返して、気分が悪くなる。力をなくし、床にへたりこんだ脚の上に置かれた腕には、強く掴まれた痕が痛々しく残っていた。

「なに、もう終わり?」

頭上から降ってきた、冷たい、少し面白がっているような口調に、ぴくりと身を硬くする。

「キスだけでこんなになっちゃって。この続きやったらどうなっちゃうんだろうね?」

細い、骨ばった指が、震える私の顎を捕らえた。
そのままくいっと指を上げて、私の顔を上に向かせると、くちびるが触れそうなほどに自分の顔を近づける。

「・・・やめてよ」

これでもか、ってくらい低いトーンで、そっけない言葉を返す。目は合わせない、絶対に。
しかし彼は動じることはなく、さも可笑しそうにくっくっと笑う。

「嫌がるふりなんかしてさ。ほんとはもっとしてほしいんだろ?」

言いながら、私のくちびるをなぞる指が、不快でたまらない。触るな、離れろ。

「それじゃ、お望みどおりに、」

再び押し付けられたくちびる。瞬く間に身体が熱く火照る。嫌なのに、やめてほしいのに。
本能がアタマを無視して先走り、心を置き去りにする。

「ん・・・っふ」

わずかな隙間から侵入した舌が、歯列をなぞり、押し返そうとする私の舌を絡めとり、口内を激しく犯してゆく。
静かなはずの教室に、ふたりの吐息と、それに混じって淫らな水音が響く。
ようやくくちびるが空気に触れ、この短時間で二度も酸欠になりかけた脳をたたき起こす。
――だめだ、私、しっかりしろ―

「わかった?」

と、さっきのキスが嘘のように優しい手つきで、頬を包まれる。そのままやわらかく微笑むと彼は私の耳にくちびるを寄せる。

「これが俺の、愛し方だよ」

もういちど、今度は悪魔のように微笑む。その言葉に骨抜きにされて、制服のボタンに伸びた指を振り払わなかったのは。

疼く身体を鎮めるため?
それとも私の弱さ故?

するりと、ネクタイを解かれる感覚に、身震いした。







拍手ありがとうございますいちこです!
っていうかなんなのこれ!恥ずかしい!恥ずかしすぎる!
小説書いててこんな恥ずかしかったことってないよ!

これ、名前出てきてないんですけど、お相手、はー、えっとー(笑)
みなさまの好きな方を想像して下さって構わないのですが、私は玉森くんをイメージして書きました。キャラ崩れひどー。

よんでくれてありがとうございます!
コメントなんかくれると泣いて喜びます!

sp thx!!:)確かに恋だった(お題配布サイト)

20090715 ichiko
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