15000hit企画
□4.届かなかった指先
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「……ヒソカ、あのね、」
──あんなに愛しかった筈なのに。
届かなかった指先
「俺、修行しに行くんだ。どうしても勝たなきゃいけないヤツがいるから…」
あぁ、それはこの間聞いた『蟻』のことかな?僕は正直、興味ないけど。
「だからさ、俺が強くなるまで待ってて!修行が終わったらまた一緒にいよう!」
やっぱり。
ゴンは不器用だから、修行と普段の生活の両立なんて出来ないんだろうね。
でも、せっかく恋人同士になったのにな。
「ごめんね、ヒソカ…。ダメかな…?」
「んー…わかったよ◆待ってる◇」
嫌だと言う筈が、何故かそう言っていた。
すると、ゴンの顔が一気に明るくなる。
「ありがとう!すぐに会いに来るから!」
「…うん、行ってらっしゃい◇頑張ってね◆」
「ヒソカ?ねぇ、ホントは嫌だったり…」
「平気だよ◇」
そんな風に強がってみたりして。こんな時に限って素直になれない。
ねぇ、行かないで。強くならないで。
だって成長したゴンを見たら、きっと殺してしまうから。
そんなの嫌な筈なのに。
どうして僕の指先は、
君の手を掴めなかったんだろう?
(引き止められなかった理由は1つ。
僕は再び、君を『青い果実』として見てしまったから)
きっともう、僕らは戻れない。
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